髪のうねりの原因とは?くせ毛を扱いやすくする方法を医師が解説

髪のうねりの原因とは?くせ毛を扱いやすくする方法を医師が解説

湿度の高い日に髪がうねり始めたり、年齢とともに髪質が変化してまとまりにくくなったりと、髪のうねりやくせ毛は多くの女性にとって日常的な悩みです。

朝のスタイリングに時間をかけても、外出先で髪が広がってしまい、鏡を見るたびにため息をついてしまう方も少なくないでしょう。

医師として診療の場で髪の悩みについて相談を受けることも多く、髪のうねりは単なる見た目の問題ではなく、自信や生活の質に大きく影響する重要な問題だと認識しています。

髪のうねりには、実は科学的に解明されている明確な原因があります。

髪のうねりが起こる理由
  • 遺伝による毛包の形状とジスルフィド結合配置
  • 加齢によるエストロゲン減少と髪質劣化
  • 頭皮血流悪化とDHTホルモンの毛包影響
  • 化学処理・物理的ダメージによる髪構造破壊
  • 湿度による髪の水分吸収と水素結合形成

髪の内部構造の変化、ホルモンバランスの影響、環境要因など、複数の要素が複雑に絡み合って髪のうねりを引き起こしています。

この記事では、髪のうねりが起こるメカニズムを医学的観点から詳しく解説し、自宅でできる対処法から専門的な施術まで、エビデンスに基づいた改善方法をご紹介します。

この記事でわかること 
  • 髪のうねりが起こる5つの主要な原因とそのメカニズム 
  • くせ毛のタイプ別の特徴と適切な対処法 
  • 自宅で実践できる効果的なケア方法 
  • プロの施術による根本的な改善アプローチ 
  • 日常生活で気をつけるべきポイントと予防法 
目次

髪のうねりが起こる5つの主な原因 

髪のうねりを理解するためには、まず髪の基本的な構造を知ることが重要です。

髪の毛は外側からキューティクル(毛小皮)、コルテックス(皮質)、メデュラ(髄質)という3層構造になっています。

髪は主にケラチンというタンパク質で構成される繊維状の生体材料で、メデュラは髪の中心付近の緩く詰まった無秩序な領域、コルテックスは繊維の大部分を占め主にケラチンタンパク質と構造脂質で構成され、キューティクルは髪を保護する死んだ重なり合った細胞の層です。

ただし、メデュラは細毛や産毛では欠如することが多く、人によっては存在しない場合もあります。

これらの構造の変化や損傷が、髪のうねりの直接的な原因となります。

先天的な毛髪構造による影響 

髪の形状は毛包(毛根を包む組織)の形によって決定されます。

毛包の形状と毛包から髪が出る方法が、髪のカールパターンの程度、形状、そして最終的に私たちがテクスチャーと呼ぶものに大きく貢献しています。

毛包が楕円形や捻じれた楕円形の場合、髪は波状やカールした形状になります。

この形状は遺伝的に決定されており、親から子へと受け継がれます。

髪のカールを決定する重要な要素として、ジスルフィド結合(硫黄-硫黄結合)があります。

髪は主にシステインという硫黄含有アミノ酸で構成されており、これらのシステイン残基間でジスルフィド結合が形成されることで髪の形状が決定されます。

直毛の人では、これらのシステイン基が離れて配置されているため相互作用しにくいのに対し、くせ毛の人では近接して配置されているため、結合の位置関係がカール度を左右し、髪にカールやうねりが生じます。

加齢による髪質の変化 

年齢を重ねるにつれて、特に女性では閉経前後のホルモン変化が髪質に大きな影響を与えます。

閉経期には、ホルモンの変動と加齢が毛包に影響を与え、髪の薄毛、ボリュームの減少、髪質の変化などの現象を引き起こします。

これらの変化は主にエストロゲンレベルの低下に起因します。

エストロゲンの減少により、髪の成長サイクルが変化し、髪が細くなったり、乾燥しやすくなったりします。

加齢による変化は髪の内部構造にも及びます。

髪の直径が小さくなり、体の自然な油分の生産が年齢とともに低下するため、髪は光沢がなく、柔らかさや滑らかさが失われます。

これらの変化により、以前は直毛だった人でも、年齢とともに髪にうねりが出てくることがあります。

頭皮環境とホルモンバランスの関係 

頭皮の健康状態は髪質に直接的な影響を与えます。

エストロゲンには血管拡張作用があり、血管を拡張して血流を改善する助けとなります。

閉経期のエストロゲンレベルの低下により、頭皮の血管も収縮し、毛包への血液供給が減少する可能性があります。

血流の減少は、毛包への栄養供給を制限し、健康な髪の成長を妨げます。

ホルモンバランスの変化は、特にアンドロゲン(男性ホルモン)の相対的な増加をもたらします。

テストステロンから5α-レダクターゼの作用によって生成されるジヒドロテストステロン(DHT)は、毛包に最も強く影響するホルモンで、テストステロンの2‑5倍程度の強さがあります。

DHTは、TよりもARへの結合親和性が2~5倍高く、ARシグナル伝達を誘導する効力はTの10倍高く[ 5 ]、これはそれらの効果が異なっているものの相補的であることを意味します

引用:PubMed Central  The 5 Alpha-Reductase Isozyme Family: A Review of Basic Biology and Their Role in Human Diseases

DHTホルモンは毛包を弱め、髪の脱落を引き起こします。

このホルモン変化により、髪質が変化し、うねりやくせが強くなることがあります。

ダメージによる髪内部の構造変化

化学処理や物理的ダメージは、髪の内部構造に深刻な影響を与えます。

過酸化物による化学処理は速やかにコルテックスにアクセスし、メラニンの望ましい損失に加えて、繊維全体に標的外の酸化的損傷を引き起こします。

過酸化物の侵入は、髪の繊維のキューティクル層に引き起こされる相当な構造的劣化によって促進される可能性があります。

パーマやカラーリングなどの化学処理は、髪のジスルフィド結合を切断し、再結合させることで髪の形状を変化させますが、この過程で髪の構造に永続的なダメージを与えることがあります。

キューティクルの層が損傷して壊れ、コルテックスが露出します。

プロテオミクス分析により、処女毛から落ちるタンパク質は、化学的損傷がコルテックス層、さらには繊維の奥深くで発生し、タンパク質の立体構造を変化させ、ジスルフィド結合とケラチンを切断することを示しています。

浸出タンパク質はキューティクルだけでなく、皮質中間径フィラメントやマトリックスケラチン関連タンパク質も含まれていた。

引用:PubMed The physical and chemical disruption of human hair after bleaching - studies by transmission electron microscopy and redox proteomics

湿度や気候による外的要因

湿度は髪のうねりの最も一般的な原因の一つです。

髪は多孔質で、空気中の水分を吸収しやすい性質があります。

髪が水分を吸収すると、髪の1本の繊維が含むケラチン鎖間で著しく多くの水素結合を形成します。

この水素結合の形成により、髪が分子レベルで折り返され、うねりやカールが生じます。

湿度の影響は髪のダメージ度合いによって大きく異なります。

髪のキューティクルへの損傷(化学処理が最も深刻ですが、タオルドライやブラッシングの摩擦でさえも)は、疎水性の撥水シールを破壊し、髪の多孔性を増加させ、したがって水に対する感受性や吸収を増加させるため、髪をよりうねりやすくします。

健康な髪に比べて、ダメージを受けた髪は湿度の影響を受けやすく、より激しいうねりを生じやすくなります。

ブリーチ処理による化学的ダメージは、テクスチャードヘアの繊維の吸水による直径変動値を、バージンヘアと比較して2倍以上増加させました。

引用:MDPI Porosity and Resistance of Textured Hair: Assessing Chemical and Physical Damage Under Consumer-Relevant Conditions

くせ毛のタイプ別診断と特徴

くせ毛の分類は、適切なケア方法を選択する上で重要な指標となります。

現在、広く使用されている分類システムは、髪を4つの主要なタイプに分け、さらにそれぞれをA、B、Cのサブカテゴリーに細分化しています。

カールパターンは、パターン1(ストレート)、パターン2(ウェーブ)、パターン3(カーリー)、パターン4(コイリー)に分けられます。

この分類は、髪のカールの程度や形状を客観的に評価し、適切なケア方法を選択するための重要なツールとなっています。

波状毛の見分け方と対処法

波状毛(タイプ2)は、S字型の緩やかなカーブを描く髪質で、日本人では5-10%程度の少数派タイプです。

波状毛(タイプ2)の種類と特徴

タイプ特徴向いているケア・スタイリング
2Aほぼストレート、毛先のみゆるいS字軽い保湿、重くならないスタイリング剤
2B明確なS字カーブ湿度対策・軽めのスタイリング剤
2C波状+緩いカール、やや粗い質感保湿+まとまり重視、定義力キープ

タイプ2Aは、ほとんどまっすぐで根元から目の高さまではストレートですが、毛先にかけて緩やかなウェーブがある髪質です。

タイプ2Bは、より明確なS字カーブを持ち、タイプ2Cは波状と巻き毛の中間的な性質を持ちます。

波状毛の特徴として、湿度の影響を受けやすく、乾燥すると広がりやすい傾向があります。

2c髪タイプは主にS字型の波ですが、いくつかの緩いカールと粗いテクスチャーも混在している可能性があります(タイプ3カールの境界にあるため)。

2c波は経験的に簡単にうねりやすく、定義を速く失う傾向があるとされています。

このタイプの髪には、軽めの保湿製品と、髪の重さを増やさない程度のスタイリング剤が適しています。

捻転毛の特徴と適切なケア

捻転毛は、髪の軸が不規則にねじれている状態で、日本人にも比較的多く見られる髪質です。

この髪質は、髪の太さが一定でなく、ねじれた部分で髪が弱くなりやすいという特徴があります。

捻転毛は遺伝的要因が強く、適切なケアなしには切れ毛や枝毛が生じやすくなります。

捻転毛のケアには、髪の内部構造を強化することが重要です。

タンパク質トリートメントや、髪の結合を修復する製品の使用が効果的です。

また、物理的な刺激を最小限に抑えるため、幅の広いコームを使用し、濡れた状態での過度なブラッシングは避けるべきです。

縮毛と連珠毛の違い

縮毛(タイプ3C-4)は、非常にタイトなカールやコイル状の髪質で、アフリカ系の人々に多く見られますが、日本人にも存在します。

アフリカ人の髪の形状はほとんどがカーリー(94.9%)で、いくつかのウェーブヘア(5.1%)があります。

縮毛は髪の断面が扁平で、極めて乾燥しやすい特徴があります。

連珠毛は、髪の太さが数珠のように周期的に変化する特殊な髪質で、遺伝的要因により生じます。

髪の細い部分で切れやすく、通常のヘアケアでは改善が困難なことが多いです。

この髪質の場合、医療機関での相談や、特殊なトリートメントが必要になることがあります。

複合型くせ毛への対応

実際には、多くの人が複数のくせ毛タイプを併せ持っています。

同じ頭の異なる部分に異なるカールパターンを持つことがあります。

例えば、前髪は波状毛(2B)でも、後頭部は巻き毛(3A)というケースは珍しくありません。

複合型くせ毛の場合、部位ごとに異なるケア方法を採用する必要があります。

カールの強い部分にはより濃厚な保湿剤を、波状の部分には軽めの製品を使用するなど、髪質に応じた使い分けが重要です。

また、スタイリング時には、それぞれの髪質の特性を活かしたテクニックを組み合わせることで、全体的にバランスの取れた仕上がりを実現できます。

自宅でできるくせ毛を扱いやすくする方法

自宅でのくせ毛ケアは、正しい知識と適切な製品選びから始まります。

髪の構造を理解し、それぞれの髪質に合わせたケア方法を実践することで、くせ毛を扱いやすく、美しい状態に保つことができます。

日常的なケアの積み重ねが、髪質改善への第一歩となります。

正しいシャンプーとトリートメントの選び方

くせ毛に適したシャンプーとトリートメントの選択は、髪の健康維持に不可欠です。

くせ毛は構造上、直毛よりも乾燥しやすい傾向があります。

くせ毛の程度が増すにつれて髪の多孔性が増加する可能性があります。

これは、ストレートヘアは多孔性が低く、カーリー、ウェービー、アフリカンコイリーヘアはより多孔性が高く、壊れやすいことを意味します。

そのため、保湿力の高い製品を選ぶことが重要です。

くせ毛に適したシャンプー・トリートメント選びのポイント

項目推奨される選び方・成分例理由・効果
シャンプーアミノ酸系・ベタイン系/ノンシリコン/硫酸系不使用優しく洗い、必要な皮脂を残す。乾燥を防ぐ。
トリートメント加水分解ケラチン/セラミド/天然オイル髪の内側から補修し、うるおいとまとまりを与える
ヘアマスク等週1-2回、集中補修タイプダメージ補修・水分保持力アップ

シャンプー選びでは、硫酸系界面活性剤を避け、アミノ酸系やベタイン系の優しい洗浄成分を含む製品を選択しましょう。

これらの成分は、必要な皮脂を残しながら汚れを落とすため、髪の乾燥を防ぎます。

トリートメントは、髪の内部まで浸透する加水分解ケラチンやセラミド、天然オイルを含むものが効果的です。

週に1-2回は、集中的な補修効果のあるヘアマスクやディープトリートメントを取り入れることで、髪の状態を大幅に改善できます。

ドライヤーとブラシを使った効果的なブロー技術

適切なブロー技術は、くせ毛を扱いやすくする重要な要素です。

髪を乾かす際は、まず過剰な水分をタオルで優しく押さえて取り除きます。

ゴシゴシと擦ることは避け、髪を包み込むようにして水分を吸収させましょう。

ドライヤーを使用する際は、必ず熱保護スプレーを使用し、温度は中温に設定します。

髪から15-20cm離して使用し、根元から毛先に向かって風を当てます。

くせを伸ばしたい場合は、ロールブラシを使用し、髪を軽く引っ張りながら乾かします。

逆に、自然なカールを活かしたい場合は、ディフューザーアタッチメントを使用し、髪を持ち上げるようにして乾かすと良いでしょう。

髪が80%程度乾いたら、冷風に切り替えてキューティクルを閉じることで、スタイルの持続性が向上します。

スタイリング剤の使い分けと塗布方法

スタイリング剤の選択と使用方法は、くせ毛のコントロールに大きく影響します。

髪質やなりたいスタイルに応じて、適切な製品を選ぶことが重要です。

波状毛には軽めのムースやミルクタイプが適しており、より強いカールにはクリームやジェルタイプが効果的です。

スタイリング剤の塗布は、髪が湿った状態で行うのが基本です。

塗布のポイント
  1. スタイリング剤を手のひらによく伸ばす
  2. 髪の中間~毛先に均等に塗布
  3. 根元付近にはつけすぎない(ボリュームダウンやベタつき防止)

適量を手のひらに取り、両手でよく伸ばしてから、髪の中間から毛先にかけて均等に塗布します。

根元付近への過度な塗布は、ボリュームダウンやベタつきの原因となるため避けましょう。

くせを活かすスタイリングでは、髪を握るようにして製品をなじませ、くせを抑えたい場合は、コーミングしながら塗布すると効果的です。

仕上げに、少量のオイルやセラムを毛先に塗布することで、まとまりと艶を与えることができます。

就寝前のケアで翌朝の髪をコントロール

夜間のケアは、翌朝の髪の状態を大きく左右します。

就寝中の摩擦や乾燥から髪を守ることで、朝のスタイリング時間を短縮し、髪へのダメージを軽減できます。

就寝前には、髪を完全に乾かすことが重要です。

湿った状態での就寝は、髪の摩擦を増加させ、くせやうねりを悪化させる原因となります。

髪が長い場合は、ゆるく結んだり、シルクやサテンのスクランチーを使用して、摩擦を最小限に抑えることが推奨されています。

枕カバーもシルクやサテン素材に変更することで、髪への摩擦を減らす効果が期待されますが、厳密な対照試験による証明は限定的です。

また、就寝前に少量のヘアオイルやナイトセラムを塗布することで、夜間の乾燥を防ぎ、翌朝のまとまりやすさが向上します。

プロの施術で改善する最新治療とケア

自宅でのケアに限界を感じた場合、プロフェッショナルによる施術を検討することで、より根本的な髪質改善が可能になります。

最新の技術と専門知識を活用した施術は、髪の構造レベルでの改善をもたらし、長期的な効果が期待できます。

ただし、それぞれの施術にはメリットとデメリットがあるため、自身の髪質や希望するスタイルに応じて、適切な選択をすることが重要です。

縮毛矯正とストレートパーマの違いと選び方

縮毛矯正とストレートパーマは、どちらも髪をストレートにする施術ですが、その効果と持続性には大きな違いがあります。

縮毛矯正は、髪の内部構造を薬剤と熱によって変化させ、半永久的にストレートな状態を保つ施術です。

一方、ストレートパーマは、より穏やかな薬剤を使用し、自然なストレート感を演出します。

縮毛矯正とストレートパーマの違い

項目縮毛矯正ストレートパーマ
ストレート効果半永久的にストレートな状態を保つ自然なストレート感を演出
薬剤強い薬剤+熱処理(アイロン使用)穏やかな薬剤
アフターケア施術後は定期的なトリートメントと適切なホームケアが必須施術後は定期的なトリートメントと適切なホームケアが必須

縮毛矯正は、強いくせ毛や縮毛に対して高い効果を発揮しますが、髪へのダメージも大きくなります。

アルカリ性の還元物質(通常はチオグリコール酸アンモニウム)がまず加えられ、いくつかのジスルフィド架橋を還元して切断します。

髪はローラーやカーラーに巻かれ、α-ヘリックスが互いに相対的に位置を変えることができます。

酸化剤、通常は希釈過酸化水素溶液(中和剤とも呼ばれる)が加えられ、新しい位置でジスルフィド結合を再形成します。

施術後は、定期的なトリートメントと適切なホームケアが必須となります。

髪質改善トリートメントの仕組みと効果

髪質改善トリートメントは、髪の内部構造を補修し、健康的な状態に近づける施術です。

最新の技術では、髪の損傷部分に選択的に作用する成分を使用し、髪本来の美しさを引き出します。

加水分解ケラチンは外層を貫通できるだけでなく、角質層と皮質層にも浸透して深部修復を行うことができます。

トリートメントに使用される主な成分には、低分子ケラチン、アミノ酸、セラミドなどがあります。

これらの成分は、髪の内部に浸透し、損傷した部分を補修します。

特に、トランスグルタミナーゼという酵素を使用した最新のトリートメントでは、アミノ酸同士を架橋させることで、より強固な補修効果が得られます。

トランスグルタミナーゼ(TGase)は一般的にアミノ酸の架橋を触媒するために使用され、髪への親和性を高め、キューティクル構造の安定性を向上させ、髪繊維の抵抗力を改善し、外部からの損傷を効果的に防止・軽減します。

微生物由来のTGMは、毛髪処理におけるタンパク質架橋酵素として、損傷した毛髪に塗布した場合、対照群と比較して毛髪繊維の剛性を15.64%改善しました

引用:PubMed Central Transglutaminase in Foods and Biotechnology

頭皮ケアから始める根本的な改善アプローチ

健康な髪は健康な頭皮から生まれます。

頭皮環境の改善は、新しく生えてくる髪の質を向上させ、既存の髪の状態も改善する根本的なアプローチです。

頭皮マッサージや専門的なスカルプトリートメントは、血行を促進し、毛包への栄養供給を改善します。

機能性成分配合治療レジメンは、プラセボ対照シャンプー製剤と比較して、抜け毛の減少、毛髪総数の増加、TEWLの減少、頭皮バイオマーカー値の改善において統計的に有意な効果を示しました。

引用:PubMed Scalp application of antioxidants improves scalp condition and reduces hair shedding in a 24-week randomized, double-blind, placebo-controlled clinical trial

頭皮ケアの施術では、まず頭皮の状態を詳細に診断し、個々の問題に応じたアプローチを行います。

皮脂の過剰分泌、乾燥、炎症などの問題を特定し、それぞれに適した成分を使用したトリートメントを実施します。

定期的な頭皮ケアにより、髪の成長サイクルが正常化し、より健康的で扱いやすい髪が育つ環境が整います。

また、頭皮の血行改善は、加齢による髪質の変化を緩和する効果も期待できます。

医療機関で相談できる専門的な治療法

髪の問題が深刻な場合や、一般的なヘアケアでは改善が見られない場合は、医療機関での専門的な治療を検討することをお勧めします。

皮膚科や毛髪専門クリニックでは、髪と頭皮の詳細な検査を行い、個々の状態に応じた治療計画を立てることができます。

医療機関では、ホルモンバランスの検査や栄養状態の評価など、髪の問題の根本原因を特定するための包括的な検査が可能です。

髪の脱毛の原因となる他の要因を除外するのに役立つ診断的血液検査には、甲状腺検査および/または全血球計算が含まれます。

必要に応じて、内服薬や外用薬の処方、栄養補助食品の推奨、レーザー治療などの専門的な治療オプションも提供されます。

特に、閉経期の女性の場合は、ホルモン補充療法についても相談できる場合があります。

よくある質問(FAQ)

雨の日に髪がうねるのはなぜですか?

雨の日のうねりは、空気中の湿度が高くなることで髪が水分を吸収し、内部の水素結合が変化するために起こります。

湿った空気は髪のタンパク質間に水素結合を形成させ、カールとうねりを引き起こします。

特にダメージを受けた髪や多孔質な髪は、より多くの水分を吸収しやすく、うねりが強く出る傾向があります。

くせ毛は遺伝しますか? 

くせ毛には強い遺伝的要素があります。

毛髪のカールの自然な集団変異は主に遺伝的基盤を持っているようで、専門的な毛髪形態を選択する環境圧力は、人類がアフリカから移動した際に生じた可能性があります。

ただし、環境要因や後天的な髪のダメージも髪質に影響を与えるため、遺伝だけですべてが決まるわけではありません。

縮毛矯正の頻度はどのくらいが適切ですか?

縮毛矯正の適切な頻度は、髪の成長速度と髪質により個人差がありますが、一般的には4-6ヶ月に1回程度が推奨されます。

頻繁な施術は髪に深刻なダメージを与える可能性があるため、新しく生えてきた部分のみを施術する「リタッチ」という方法も検討する価値があります。

髪の状態を見ながら、美容師と相談して決めることが大切です。

市販のストレートアイロンを毎日使っても大丈夫ですか?

毎日のストレートアイロン使用は、適切な使用方法と保護対策を取れば可能ですが、髪へのダメージリスクは避けられません。

使用する際は必ず熱保護スプレーを使用し、温度はできるだけ低く設定することをお勧めします。

180-230℃帯では損傷の増大が報告されているため、この温度帯は避けるべきです。

また、同じ部分に何度もアイロンを通さず、週に1-2日は使用を控える「休髪日」を設けることで、髪の健康を保つことができます。

くせ毛に効果的な食事やサプリメントはありますか?

髪の健康には、バランスの取れた栄養摂取が重要です。

髪の構築の基本要素となる標準的な価値のタンパク質で、システインとメチオニンという硫黄アミノ酸を含むものは、ケラチン髪タンパク質合成の前駆体です。

特に、ビオチン、亜鉛、鉄分、オメガ3脂肪酸は髪の健康に重要な栄養素です。

ただし、サプリメントの摂取前には医師に相談することをお勧めします。

まとめ

髪のうねりやくせ毛は、遺伝的要因、加齢によるホルモン変化、環境要因、髪のダメージなど、複数の要因が複雑に絡み合って生じる現象です。

これらの原因を理解し、自分の髪質に合った適切なケア方法を選択することで、くせ毛と上手に付き合い、美しい髪を保つことができます。

日常的なケアとしては、保湿を重視したシャンプー・トリートメントの選択、適切なドライヤー技術の習得、髪質に合ったスタイリング剤の使用、就寝前のナイトケアなどが重要です。

これらの基本的なケアを継続することで、髪の状態は確実に改善されます。

より根本的な改善を望む場合は、プロフェッショナルによる施術や医療機関での相談も検討する価値があります。

縮毛矯正、髪質改善トリートメント、頭皮ケアなど、様々な選択肢の中から、自分の髪質や生活スタイルに最適な方法を選びましょう。

最も重要なのは、自分の髪質を受け入れ、その特性を理解した上で適切なケアを行うことです。

完璧なストレートヘアを目指すのではなく、健康的で扱いやすい髪を目標にすることで、より自然で美しい髪を手に入れることができるでしょう。

髪の悩みがある場合は、一人で悩まず、美容師や医療専門家に相談することをお勧めします。

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