年齢を問わず多くの女性が、髪の毛のパサつきに悩まされています。
ブラッシングしてもまとまらず広がってしまう、ツヤがなく手触りもゴワつくといった状態は、見た目の印象にも関わるためストレスになります。
ドライヤーやアイロンの熱によるダメージ、紫外線の影響、あるいは栄養不足や加齢といった様々な要因が髪の乾燥を招く可能性があります。
しかし、正しい知識に基づいたケアを行えば、パサついた髪に潤いを与え、ダメージを抑えることができます。
- 栄養バランスのとれた食事で髪の内側から潤いを補う
- 質の良い睡眠とストレスケアでホルモンバランスを整える
- 正しい洗髪とドライヤーの使い方で乾燥ダメージを防ぐ
- トリートメントやヘアオイルで保湿・補修ケアを続ける
- 無理なダイエットや偏食を避けることも髪を守るポイント
本記事では、髪のパサつきの原因と対策について、信頼できるエビデンスに基づきくわしく解説します。
髪の乾燥に悩む方が、適切なケア方法を知り、美しく健康な髪を保つ一助になれば幸いです。
- 髪がパサつく主な原因(外的要因と内的要因)
- ドライヤーの使い方や洗髪方法など、髪の潤いを守るケアのポイント
- トリートメントやヘアオイルを使った効果的な保湿ケアの方法
髪がパサつく原因
髪のパサつきは、外部からのダメージ要因と体内の要因の双方から生じると考えられています。
日常的に使うドライヤーやヘアアイロンの熱、そして太陽光に含まれる紫外線などの外的要因は、髪表面のキューティクルを傷つけ、水分を失わせる主要な原因です。
たとえば高温の熱は髪のタンパク質であるケラチンを変性させ、キューティクルの損傷につながります。
紫外線もまた髪の構造を弱め、タンパク質やメラニン色素を分解してしまうため、過度な日差しに当たると髪が乾燥し切れ毛や退色の原因となり得ます。
さらにカラーリング剤やパーマ液といった化学的な刺激も髪への負荷が大きく、繰り返すことでキューティクルが剥がれ内部のコルテックス(毛皮質)まで露出してしまい、髪の構造を著しく損ないます。
一方で、内的要因としては栄養状態や加齢など体内のコンディションが挙げられます。
髪の主成分はタンパク質ですが、無理なダイエットや偏った食生活で必要な栄養素が不足すると髪の生成や保湿力に影響します。
実際、タンパク質やビオチン、亜鉛などの不足は髪の成長不良を招き、ヨウ素不足は乾燥した髪(乾燥毛)につながるとの報告があります。
また加齢に伴う変化も無視できません。
女性は40代を超える頃から髪一本一本の太さ(硬毛の本数)が減少し、髪が細く弱くなる傾向があります。
細くなった髪は毛髪内部のコルテックス量が減るため水分保持力が低下し、ダメージがなくてもパサついた手触りになりやすいことが指摘されています。
さらに年齢を重ねると皮脂腺の活動やホルモン分泌量も変化し、頭皮の皮脂・水分バランスが乱れて髪の潤いが減少する場合があります。
こうした要因が重なることで髪は乾燥しやすくなり、ツヤの低下やごわつきといった「パサつき」の症状として現れるのです。
外的要因: ドライヤーの熱・紫外線などによるダメージ
毎日のヘアセットで使用する熱や、屋外で浴びる紫外線は、髪のパサつきを招く代表的な外的要因です。
髪は高温に弱く、80~100℃程度の熱でも乾いた髪の強度が低下し始め、120℃近辺になるとキューティクル(毛小皮)が膨らんで変形することが確認されています。
特に濡れた髪は熱の影響を受けやすく、湿った状態(湿度95%以上)では約55℃といった低い温度からケラチン変性が始まるとの報告があります。
つまりシャンプー後の髪は非常にデリケートで、ドライヤーの熱風でも過度に近づけたり長時間同じ箇所に当てたりすると、水分が急激に奪われてキューティクルが損傷し、乾燥やパサつきの原因となります。
紫外線もまた髪へのダメージ要因です。
紫外線(UV)は肌だけでなく髪のタンパク質にも作用し、過度な日光曝露は髪の構造を損ないうる最も一般的な原因であるとされています。
UV-B波は毛髪内部のタンパク質を分解し、UV-A波は髪色を変色させるなど、太陽光は髪からタンパク質や水分を奪い去ります。
その結果、髪表面のキューティクルが剥がれたり乱れたりして水分保持力が低下し、触ったときにザラつくようなパサパサの髪質になってしまいます。
毛髪タンパク質の劣化は、254~400nmの波長によって引き起こされます。UVBは毛髪タンパク質の喪失を引き起こし、UVAは色の変化を引き起こします。
引用:National Center for Biotechnology Information UV damage of the hair
さらにヘアカラーやパーマといった化学処理も髪の乾燥を悪化させます。
ブリーチ(脱色)などの強い薬剤による処理を繰り返すと、毛髪表面のキューティクル層が大量に失われ、内部のコルテックスが露出するほど構造が損なわれることが報告されています。
キューティクルが傷つき剥がれた髪は内部の水分が逃げやすくなるため、カラーやパーマを重ねた髪ほど乾燥しやすく、パサつき・ごわつきが目立つ傾向があります。
以上のように、熱、紫外線、化学処理といった外部からの刺激が蓄積するとキューティクル破壊やタンパク質変性を引き起こし、髪本来の潤いを奪ってしまうのです。
内的要因: 栄養不足・加齢など体内の問題
髪のパサつきは体内要因、すなわち健康状態や加齢による変化とも深く関わっています。
髪は主にケラチンというタンパク質で構成されるため、栄養バランスの乱れは直接髪質に影響します。
特に無理なダイエットや偏食でタンパク質やビタミン・ミネラル類が不足すると、新しく生えてくる髪の質が悪くなったり成長が阻害される恐れがあります。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料でもあり、不足すると新陳代謝の低下により皮脂や汗の分泌も減少しがちなため、髪や肌が乾燥しやすくなると考えられます。
こうしたことから極端な食事制限や栄養不良は髪をパサパサにする一因となり得るため、髪のためにもバランスの良い食事が大切です。
栄養不足の兆候としてタンパク・エネルギー低栄養では簡単に毛髪が抜け、タンパク質・ビオチン・亜鉛不足でまだらな毛髪、銅・ビタミンC不足では毛髪のちぢれ、ヨウ素不足で乾燥毛・生え際の後退に影響するとの報告※2もあります。
引用:公益財団法人日本毛髪科学協会「毛髪にまつわるQ&A - 髪に良い食事や食品はありますか?」
また加齢による髪質変化も見逃せません。
年齢を重ねるにつれ毛髪を産生する毛母細胞の働きが緩やかになり、髪の一本あたりの太さ(コシ)が細く弱くなっていきます。
日本毛髪科学協会の報告によれば、40代を越えると女性の頭頂部の太い毛(硬毛)の本数が減少し始め、髪全体のボリューム低下が顕著になるとされています。
細くなった毛髪は内部の毛皮質量も減るため水分を保持する力が弱まり、結果としてダメージがなくても乾燥しやすくなるのです。
若い頃には艶やかだった髪が、年齢とともにパサつきを感じやすくなるのはこのためと考えられます。
さらに加齢に伴うホルモンバランスの変化も影響します。
女性ホルモン(エストロゲン)には髪や頭皮の潤いを保つ作用がありますが、30代以降徐々に分泌量が減少し、特に更年期以降は髪のハリ・ツヤが失われがちです。
その結果、うねりや広がり、乾燥といった髪質の変化が起こりやすくなる場合があります。
加齢によって頭皮の皮脂分泌も減少または乱れる傾向があり、必要な油分が行き渡らなくなることで髪が乾燥してしまうこともあります。
- 加齢で女性ホルモンが減少し、髪や頭皮の潤いが低下
- 髪が細くなり、水分保持力が弱まりパサつきやすくなる
- ハリやツヤが失われ、乾燥やうねりが目立ちやすくなる
- 頭皮の皮脂分泌が減少し、油分不足で髪が乾燥しやすくなる
- ホルモン変化と髪質低下が重なり、パサつきが進行しやすい
加えて、血行不良やストレスなど生活習慣に起因する要因も髪の栄養供給に影響し、ツヤのないパサついた髪を招くことがあります。
例えば頭皮の血行が悪いと毛根への酸素や栄養が不足し、健康な髪が育ちにくくなりますし、慢性的なストレスはホルモンバランスの乱れを通じて髪質の低下につながる可能性があります。
内的要因による髪のパサつきは、生活習慣の改善や不足しがちな栄養素の補給など体の内側からのケアも重要であることを示唆しています。
髪がパサつくときはどうしたらいい?
髪がパサついてしまったときは、毎日のヘアケア方法を見直し、髪に必要な潤いを守る対策をとることが大切です。
基本となるのは、正しい洗髪方法と乾かし方で髪や頭皮への負担を減らすこと、そしてトリートメントやヘアオイルで保湿ケアをしっかり行うことです。
対策のポイント | 内容 |
---|---|
シャンプーの見直し | ・1日1回が目安 ・低刺激・保湿タイプを使用 ・ゴシゴシ洗わずやさしく洗う |
洗髪後の乾かし方 | ・濡れたまま放置せず、すぐに乾かす ・ドライヤーは20cm以上離して使用 ・仕上げに冷風を当ててツヤ出し |
保湿ケア(毎日のケア) | ・コンディショナーやトリートメントで髪表面をコーティング ・ヘアオイルで水分蒸発を防ぐ(例:ココナッツオイル) |
こうした保湿ケアは一度で劇的な変化を生むものではありませんが、継続することで髪の質感を徐々に改善し、ダメージの蓄積を防ぐ効果が期待できます。
実際、繰り返しのホームケアで髪の強度が向上し、次回のヘアカラーやパーマなどによるダメージを抑えられたという報告もあります。
髪のパサつき対策には、このように日々の正しいヘアケアと補修・保湿アイテムの活用を組み合わせることが重要なのです。
正しい洗髪と乾かし方で髪の潤いを守る
毎日のシャンプーやドライヤーの使い方を工夫するだけで、髪の乾燥を防ぎ潤いを保ちやすくなります。
まず洗髪の頻度ですが、基本的には皮脂汚れを落とすために1日1回程度のシャンプーで十分です。
汗やスタイリング剤が気になる場合でも、朝晩2回以上の過剰な洗髪は避けましょう。
日本毛髪科学協会によれば、1日に2~3回もシャンプーするのは洗いすぎであり、頭皮が乾燥してフケやかゆみの原因になるため控えるべきだとされています。
洗う際は髪と頭皮を優しく指の腹でマッサージするようにし、強くゴシゴシ擦らないことが大切です。
熱すぎるお湯も皮脂を取りすぎて乾燥を招くため、ぬるま湯(約38~40℃)で洗うと良いでしょう。
シャンプー後のすすぎ残しは頭皮トラブルのもとになるため、コンディショナーやトリートメントも含めて十分に洗い流します。
シャンプー後の乾かし方も髪の潤いキープには重要なポイントです。
濡れた髪は非常にデリケートで、放置すると雑菌が繁殖して頭皮に炎症を起こすこともあります。
そのため洗髪後はできるだけ早めにドライヤーで乾かすことが推奨されます。
- 洗髪前にブラッシングで髪の絡まりを取る
- ぬるま湯(約38~40℃)で予洗いする
- シャンプーは手で泡立ててから使う
- 指の腹で頭皮をやさしくマッサージ洗い
- シャンプーやトリートメントはしっかりすすぐ
- タオルで優しく押さえて水分を取る
- ドライヤーは20cm以上離して使う
- 弱風・低温で根元から全体を乾かす
- 8割乾いたら冷風で仕上げ、潤いを守る
ただし、乾かす際に注意したいのがドライヤーの温度と距離です。
前述したように、髪は濡れているときほど熱ダメージを受けやすくなっています。
タオルドライで水滴をある程度拭き取ったら、ドライヤーは髪から20cm以上離し、最初は弱風・低温で根元から全体をざっと乾かすようにします。
髪が半乾きになってきたら、中温〜高温に切り替えてドライヤーを髪に近づけ、動かしながら均一に乾かします。
決して1カ所に長時間熱風を当て続けないようにし、8割程度乾いたところで送風を冷風にして仕上げるとキューティクルが引き締まり潤いを保ちやすくなります。
なお、ヘアアイロンやコテ(カールアイロン)を使う場合は、完全に髪が乾いてから使用するのが鉄則です。
濡れた状態の髪に高温のアイロンを当てるのは非常に危険で、髪内部の水分が急激に蒸発して深刻なダメージを与えてしまいます。
アイロンの温度設定も必要以上に高くしないよう心掛けましょう。
一般的なヘアアイロンは180℃程度まで温度が上がりますが、髪質によっては150~170℃でも十分スタイリング可能です。
温度を低めに設定し、同じ部分に2秒以上当て続けないようにするとダメージ軽減につながります。
このように、洗髪と乾燥のプロセスで髪への物理的・熱的ストレスを減らす工夫をすることで、本来髪に必要な水分や油分を守り、パサつきを予防・改善することができます。
トリートメントやヘアオイルで保湿ケアを行う
髪の乾燥対策には、日々の仕上げや週単位のスペシャルケアとしてトリートメント剤やヘアオイルを活用することも有効です。
シャンプー後に使うインバス(洗い流す)トリートメントやコンディショナーは、傷んだ髪の表面をコーティングして手触りを滑らかに整えてくれます。
キューティクルの剥がれや浮きを埋めるように成分が付着し、髪同士の摩擦を減らして指通りを改善する効果があります。
例えばシリコーン(ジメチコン等)を多く含むトリートメントは、髪に被膜を張ってツルツルとした質感に仕上げるため、施術直後は「髪質が良くなった」と感じられるでしょう。
もっとも、こうしたトリートメント剤は髪そのものの構造を根本から修復するものではなく, あくまで一時的に表面を整えることでパサつきを感じにくくしている場合が多いとされています。
効果は数回のシャンプーで徐々に薄れてしまうため、継続的に使用することが肝心です。
保湿ケア方法 | 主なポイント |
---|---|
インバス(洗い流す)トリートメント | 髪表面をコーティングし、手触りや指通りをなめらかに整える |
タンパク質系成分配合トリートメント | 髪内部に浸透し、継続使用で毛髪強度やダメージ補修効果が期待できる |
アウトバス(ヘアオイル・ミルク) | 髪表面に油膜を作り、水分蒸発を防ぎ毛先の乾燥や広がりを抑える |
ただし近年では、繰り返し使うことでダメージ補修効果が蓄積するタイプのトリートメント成分も登場しています。
例えば加水分解ケラチンなどのタンパク質系成分(PPT)は、継続使用により髪内部に浸透・定着して強度を徐々に高める効果が期待できます。
実際、ホームケアでPPT配合の補修製品を使い続けることで毛髪強度が増し、次にヘアカラーやパーマを施術した際のダメージを軽減できたとの報告もあります。
したがって、トリートメントは一回で劇的な改善を図るというより、日々の積み重ねで髪のコンディションを底上げしていくものと考えると良いでしょう。
ヘアオイルには椿油、アルガンオイル、ホホバオイルなど様々な種類がありますが、中でもココナッツオイルは髪との親和性が高いことで知られています。
ある研究では、日常のシャンプーによる髪のタンパク質流出ダメージをココナッツオイルが軽減するか調べたところ、オイルを浸透させた髪は内部の孔(ポア)面積の拡大が抑えられ、毛髪の耐久性低下が有意に改善したと報告されています。
毛穴表面積データは、ココナッツベースのヘアオイル(CBHO)を毛髪に導入することで、毛髪の多孔性増大を抑制できることを明確に示しています。破断応力と強度は統計的に有意に低下し、CBHOの塗布によって回復しました。
引用:National Center for Biotechnology Information Benefit of coconut-based hair oil via hair porosity quantification
簡単に言えば、適切なオイルケアによって髪の内外に油分のバリアを作り、水分が抜けにくい状態にすることができるのです。
ヘアオイルの使用量は多すぎると重たくベタついた印象になってしまうため、数滴~1プッシュ程度を手のひらでよく伸ばし、毛先から中間にかけて薄く塗布するのがコツです。
オイルでコーティングされた髪はキューティクルが整い光を反射しやすくなるため、ツヤもアップして健康的な印象になります。
なお、市販の洗い流さないトリートメント(ミルクやクリームタイプ)にも保湿成分や補修成分が配合されており、オイル同様に乾燥対策に有効です。
クリームタイプは特にしっとりとした仕上がりで、広がりやすい髪も落ち着かせる効果があります。
自分の髪質に合ったアイテムを選び、毎日のスタイリング前後に少し手間をかけて保湿ケアする習慣をつけることで、パサついた髪も徐々に改善していくでしょう。
髪のパサつきを防ぐための生活習慣
髪の潤いを保つには、毎日の生活習慣が大きく影響します。
髪のパサつき(乾燥による髪のゴワつきや艶のなさ)は、外側からのケアだけでなく体の内側からのケアも重要です。
例えば栄養不足は髪質に直結し、極端なダイエットや偏った食事によって髪が乾燥・損傷しやすくなることが報告されています。
実際、深刻な栄養不良(栄養失調)は髪の乾燥や艶の喪失の一因となり得ます。
また、日々の睡眠の質やストレスの管理も髪の健康状態に影響します。
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、体や髪の細胞修復が行われますが、睡眠不足が続くとその回復力が十分に発揮されず、髪の生育やツヤに悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、慢性的なストレスはホルモンバランスを乱し、血行不良を招いて頭皮や毛根への栄養供給を妨げると考えられています。
その結果、髪の乾燥や抜け毛などトラブルのリスクが高まるおそれがあります。
ここからは、髪のパサつきを防ぐために見直したい栄養面でのポイントや、睡眠・ストレスとの上手な付き合い方について詳しく解説します。
栄養バランスの良い食生活を心がける
髪のパサつきを予防・改善するうえで、まず見直したいのが日々の食生活です。
髪の毛は主成分がケラチン(タンパク質)でできており、健康な髪には十分なタンパク質と各種ビタミン・ミネラルが欠かせません。
栄養状態が悪いと髪まで十分な栄養が行き渡らず、うるおいを保つための皮脂分泌や髪を構成する細胞の働きが低下します。
その結果、髪が細く弱くなったり、乾燥しやすくなったりします。
「乾燥した髪(乾燥毛)」は、実際に甲状腺ホルモンなどに関与するヨウ素の不足によって引き起こされる兆候の一つともされており、栄養不良は髪質の悪化に直結すると言えるでしょう。
また、深刻なビタミンA不足でも皮膚や髪が乾燥しやすくなることが報告されています。
これらのことからも、髪のためには栄養バランスの取れた食事が基盤となることが分かります。
特定の食材だけを食べれば劇的に髪が潤うというものではありませんが、無理なダイエットや偏食を避け、さまざまな食品からまんべんなく栄養を摂取することが大切です。
栄養素 | 不足した場合の髪への影響 |
---|---|
タンパク質 | 髪が細く弱くなり、成長不良やパサつきが目立つ |
ビオチン | 髪の成長不良、細毛や抜け毛、髪質悪化 |
亜鉛・鉄分 | 髪の成長やツヤの低下、抜け毛やパサつきの増加 |
ヨウ素 | 乾燥毛・パサつき、生え際の後退、新陳代謝の低下 |
ビタミンA・C・銅 | 髪や頭皮の乾燥、ちぢれ毛やごわつきの増加 |
例えば、髪の材料となるタンパク質は肉・魚・大豆製品・卵などからしっかり摂りましょう。
ビタミンやミネラルも豊富に含む緑黄色野菜や海藻類(ヨウ素を含む食品)などを組み合わせることで、髪や頭皮の健康維持に必要な栄養素を補給できます。
特に鉄分や亜鉛は髪の生成やツヤ維持に関わる重要なミネラルで、不足すると抜け毛や髪のパサつきの原因になり得ます。
さらに、青魚やナッツに含まれるオメガ3系脂肪酸は抗炎症作用があり頭皮環境の改善に役立つと考えられており、結果的に健やかな髪の育成をサポートします。
日頃からバランスの良い食生活を心がけ、水分補給もしっかり行うことで、髪の内部から潤いを保てる土台を作りましょう。
十分な睡眠とストレス管理で髪を健やかに保つ
毎日の睡眠とストレスコントロールも、髪のパサつきを防ぐ上で見逃せない要素です。
質の良い睡眠を十分にとることは、髪の修復・成長に必要な時間を確保することにつながります。
私たちの体は睡眠中、とくに入眠後の深い眠りの段階で成長ホルモンを分泌し、ダメージを受けた細胞組織の修復を行います。
髪や肌も例外ではなく、夜更かしや慢性的な寝不足が続くとこうした修復・再生のプロセスが十分に行われず、髪の生育サイクルが乱れたり乾燥・ツヤ低下の原因になったりする可能性があります。
逆に、適切な睡眠を確保することで日中に受けた髪のダメージが回復しやすくなり、健やかな髪質の維持につながります。
髪のためにも、理想的には毎日6~8時間程度の睡眠をとり、眠りの質を高める工夫(就寝前のリラックス、規則正しい生活リズムなど)を行うと良いでしょう。
また、日頃のストレス管理も髪の健康には重要です。
強いストレスを感じると自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になることで頭皮の血管が収縮しやすくなります。
その結果、頭皮の血流が悪化し、毛根への栄養供給が滞って髪の成長やうるおい維持に支障をきたす恐れがあります。
実際に、急激な強いストレスを受けた後に一時的に髪が大量に抜ける「休止期脱毛(いわゆるストレス性の抜け毛)」が起こることも知られており、精神的な負荷と髪の健康には深い関係があります。
またストレスが続くと皮脂の分泌バランスも崩れ、頭皮が乾燥しフケやかゆみが生じる一因ともなり得ます。
こうした悪影響を防ぐために、自分なりのリラックス法(入浴や軽い運動、趣味の時間を持つ等)でストレスを溜め込みすぎないようにすることが大切です。
心身のコンディションを整える生活習慣は、めぐりめぐって健やかな髪の維持にも役立つでしょう。
よくある質問(FAQ)
- シャンプーは毎日した方がいい?パサつき予防に適切な頻度は?
-
髪や頭皮の清潔を保つため、基本的には1日1回、少なくとも2日に1回の洗髪が推奨されています。
洗い過ぎにも注意が必要で、1日に何度もシャンプーすると必要な皮脂まで落として頭皮が乾燥し、フケやかゆみの原因になり得ます。
髪のパサつきが気になる場合は、洗浄力のマイルドなシャンプーを使い、洗髪頻度も毎日でなく隔日にするなど調整すると良いでしょう。
- 髪は自然乾燥とドライヤー、どちらが傷みにくいの?
-
濡れた髪を長時間放置する自然乾燥よりも、適切にドライヤーで速やかに乾かすほうが頭皮・髪に良いとされています。
髪や地肌が濡れたままだと雑菌が繁殖しやすく、嫌な臭いや炎症の原因になるため、シャンプー後は早めに乾かすことが大切です。
ただし、ドライヤーの熱によるダメージを防ぐために、髪から適度に離して温風を当てる、同じ箇所に長時間当てない、といった工夫をしましょう。
低温設定や冷風を交えて乾かすことで、髪への負担を減らすことができます。
- トリートメントやヘアオイルは毎日使うべき?
-
コンディショナーやトリートメントは基本的に毎回の洗髪時に使用し、髪に潤いを与えて保護することが勧められます。
シャンプー後の髪はキューティクルが開いて水分が失われやすい状態なので、コンディショナーでしっかり保湿してパサつきを防ぎましょう。
洗い流さないタイプのヘアトリートメント剤やヘアオイルも、毛先の乾燥が気になる場合には適宜使用すると効果的です。
ただし毎日大量に使う必要はなく、髪質やダメージの度合いに応じて量や頻度を調節してください。
髪がベタつきやすい人は、オイルは毛先中心に少量をなじませる程度に留めると良いでしょう。
- 加齢による髪のパサつきは防げますか?
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年齢を重ねると髪の構造自体が変化し、若い頃に比べて髪の一本一本が細くなります。
それに伴い、髪内部の毛髄質(コルテックス)が減少して水分を保持する力が弱まり、どうしてもパサつきやすくなってしまいます。
このような加齢による髪質の変化そのものを完全に止めることは難しいですが、適切なケアでその影響を和らげることは可能です。
具体的には、先述のような栄養バランスの良い食事や十分な睡眠・ストレスケアを心がけ、髪や頭皮を清潔に保ちつつ保湿効果のあるシャンプーやトリートメントでケアすることが有効でしょう。
紫外線やヘアアイロンの熱によるダメージも蓄積すると髪の潤い低下を加速させるため、帽子や日傘で紫外線対策をしたり、熱スタイリングの頻度を減らすこともパサつき予防に役立ちます。
まとめ
髪のパサつきを防ぐには、まず睡眠・栄養・ストレス管理など生活習慣を整えましょう。
食事は海藻・魚介・肉・野菜をバランス良く取り、タンパク質・ビタミン・ミネラルを十分に補給します。
洗いすぎを避け、低刺激シャンプーとコンディショナーを使い、洗髪後はドライヤーで適度に乾かしたうえでトリートメントやオイルで保湿すると効果的です。
日々の小さな習慣改善が、頭皮環境を整え艶のある健やかな髪を育てます。
National Center for Biotechnology Information UV damage of the hair
公益財団法人日本毛髪科学協会「毛髪にまつわるQ&A 」
National Center for Biotechnology Information Benefit of coconut-based hair oil via hair porosity quantification
MedlinePlus Medical Encyclopedia Dry hairLake County Indiana Vitamin A Deficiency: Causes, Symptoms, and Prevention