「お産が終わって体重が戻らないわ。」「最近おなかが出てきた」「ダイエットしなくちゃ」などなど。女性の体重に関する悩みは尽きないようです。
美しいモデルさんみたいになりたい!なんて思いもおありかもしれません。でもフランスでは、やせすぎのモデルの活動が禁止される法案が成立しました。 罰金は日本円にして約980万円、最大6か月の禁固刑だそうです。結構重い感じです。これは、スリムなモデルにあこがれて拒食症にまでなってしまうことを防ぐ目的だとか。ちなみに後ででてくるBMI 18以上でないとだめだそうです。
体重は増えすぎても、少なすぎてもだめなんですね。
というわけで今回は女性のライフサイクルを通してみた体重に関するお話です。
肥満の定義です。BMI( Body Mass Index =体重(kg)/身長(m)2 )を用います。WHOによるとBMI25以上が過体重、30以上が肥満と定義されています。(以降の言葉はこのWHOの定義を使っています。)日本においてはBMI30以上の成人は欧米と比べてとても少ないことより、BMI25以上を肥満と日本肥満学会が定義しています。
先進国の中で最も肥満の頻度が高いのはアメリカです。過体重の人が68%、肥満の人が34% と3人に2人以上です。しかもこの20年で2~3倍に増えているようです。けっこうイメージ通りです。
日本人女性においては過体重の人が 20.8% 、肥満の人が3.3% です。過去20年で20~60歳台では横ばいか低下傾向にあります。アメリカとはだいぶちがいますね。日本食が注目を集めるのもこのようなことがあるからなのでしょう。
それでは女性のライフサイクルに沿って肥満の影響を見てみましょう。
思春期や性成熟期では・・・
月経異常をひきおこします。肥満女性の排卵障害の割合はそうでない女性の 3倍以上といわれています。排卵障害は同時に不妊症につながっていきますし、不妊治療に対する反応も不良といわれています。
ただ思春期は、やせすぎのほうが月経異常になる率が高くなり、そちらの問題の方が大きいです。
それは思春期の子供たちは標準体重やそれ以下であるにもかかわらず「太っている」というボディーイメージを持つことが多く、不適切な食事制限を行う場合があります。痩せにつながる食習慣を改善する必要もでてきます。
妊娠中は・・・
肥満が母体と胎児に与える影響は、
1 妊娠高血圧症候群の発症率があがる
2 帝王切開率が高まる
3 肺塞栓症のリスクが高まる
4 巨大児が産まれやすく分娩時のリスクが高まる
などが考えられます。 やはりあまりいいことはありません。
妊娠前は肥満でなくても、妊娠中に急激に体重が増える方もおられますので、妊娠中の体重管理が大切になってきます。
閉経後は・・・
肥満は皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満にわけられます。女性は閉経後に内臓脂肪が急速に増加します。内臓脂肪型肥満は脂肪細胞の質的異常をきたしやすく、心血管疾患のリスクが高いといわれています。
一般的な肥満に関連する健康障害は、糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、冠動脈疾患、脳梗塞などなど。よく耳にするほとんどの病気の誘因になっています。
あと、閉経前後に発生しやすい悪性腫瘍に子宮体癌があります。これは肥満者における相対危険率が 2.89 と、肥満との関連性が最も高い癌といわれています。
肥満の予防、治療
基本は 消費カロリー>摂取カロリー です。摂取カロリーが消費カロリーを超えないようにすること。ほぼこれがすべてです。シンプルすぎるぐらいです。
今まで世に出たあまたのダイエット法はすべてここに収斂していきます。
医学的には食欲抑制剤という薬もありますし、肥満症に対する減量手術もあります。マラドーナや小錦さんが受けたことで有名です。しかしこれらはちゃんとした適応を満たす必要があり、誰でも使えるわけではありません。
結局、食事の量を減らし運動をする。これにつきます。
最近では糖尿病治療薬をダイエットのために保険適応外で使用される方も増えてきました。ネットで簡単に手に入ります。 美容目的で使うことへのリスクもあり、適応外使用に関する評価が定まるのはもう少し先になるかもしれません。きちんとした対応をされているクリニックもありますが、今や商機とばかりにネット上にあふれる広告をみてると、そのうち問題が起こりそうな予感もしますが・・・
2026年のアメリカのスーパーボウルのCMでセリーナウイリアムスがGLP-1受容体作動薬の広告に出演したそうです。賛否両論あったそうですが、アメリカの人々は身体改造の領域に踏み込んでいってるらしいです。肥満大国ならではの現象です。
ネット上にはダイエットに関する多くの情報があります。 なにをどう食べ、どう運動するか。選ぶのも大変です。流行みたいなものもありますし。それらについてこのコラムで触れることはいたしませんが、医学的に大切なことを一つ。ダイエットによって骨量、筋肉量、基礎代謝も減少していきます。体脂肪を減少させ、骨量や筋肉量を減少させない減量法が理想的です。
そのためにはカルシウムとビタミンDを多く接種することで解決できるというデータがあります。ぜひ参考にしてください。
日本人女性の平均寿命は87歳と世界一を続けていますし、年々伸びて行っています。肥満や過体重の割合は横ばいか低下傾向です。ということは今の皆様の意識のままぼちぼちといけばいいような気がしてきました。あまり心配しなくてもいいのかもしれません。美味しいものを食べるのも大きな幸せのひとつですから。
BMIを計算することと、体重に対する意識を少しでも持ち続けること。ここから始めてみてくださいね。



