column院長コラム

よりよい治療法を選択するためのリスクとベネフィット

日々の選択の数々

今回は治療方法の選択についてのお話です。

私たちは生活をしていく中で、毎日多くのことを選択しています。

晩御飯なににする?お肉は外国産にする?

高いけど国産にする?お休みはどこに行こう?

そうだ車でUSJにいこう!一番でハリーポッターからいこう!

などなど。


毎日小さいけれど多くの選択をして生きていきます。

選択の結果、良い結果になることもあれば悪い結果になることもあります。

やっぱり高いけど国産のほうがおいしくて安全な気がするとか。

特にチキンナゲット。

高速大渋滞でついたら夕方やん。電車で行ったらよかったなぁとか。


その対局として、極限での選択をせまられることはあまりありません。

地震などの大きな災害や、事故に直面したときに、選択によっては命にかかわる事態になることもありますが、みんながみんな経験することではありません。

病気になった時の選択

そこまで極限の状況ではないけれども、多かれ少なかれ命にかかわる選択をする必要があるのが、病気になったときです。

病気になって、何も治療しなければ命を落としたり、将来にわたって動けなくなったりすることがあるかもしれません。そこまでいかなくても、ずっと痛みを我慢する生活になるかもしれません。


そうならないように、病院に行かれると思います。

病院ではそれに対して、手術や薬による治療を提案します。

例えば、帝王切開で出産をされたママもおられると思います。

その時の医師の説明を覚えておられますか?

出血や感染、血栓症(血管が詰まる病気です)などのリスクの説明があったと思います。
でも手術を受けることのよってそれを上回るベネフィットがあるので手術を選択されたと思います。そして元気な赤ちゃんを手にするという大きな大きなベネフィットを得られたと思います。


がんの手術や抗がん剤の治療を行うときもリスクやベネフィットの説明を聞いたうえで治療法を選択することになります。最近ではがんを治療するなというような本がベストセラーになったりもしています。

それも一つの選択肢です。(私は正しいとは思いませんが・・・)


このような命にかかわる病気ではなくても、日常的によく使われる薬でも常にリスクはあります。
副作用のない薬はありません。薬によってはちょっと気分が悪くなったりすることがあります。でもそれは、その時だけで後に何かを残すことはあまりありません。
こういう副作用はあまり問題視されません。

正しい選択・・リスクとベネフィット

しかし、十万分の一、百万分の一の確率で死亡したり、それに準ずる状態になるとすればどうでしょう?

そのリスクを許容できる人と、できない人に分かれると思います。

リスクを許容したうえで病気から解放されるか、許容せずに病気をうけいれて生活するかの選択が必要になります。
これはどちらの選択も正しいと思います。大切なことは選択のための情報をしっかりと把握することです。


今はネットでいろいろな情報を得ることができますが、専門家である医師の説明が一番です。
逆にいえば、そこの説明がしっかりとできる医師がよい医師であるということです。
そのうえで、リスクを減らす努力をし、万が一問題がおきたら迅速に対応することができる医師が最高ということになります。


難病をみごとに治す医師に注目がよく集まりますが、多くの医師は上記のことを地味にこつこつと行っています。
実際の医療機関で行われる医療行為はベネフィットが圧倒的に大きいものがほとんどです。

もちろん中にはシビアな選択をしなければいけない時もありますが。

治療を開始するにあたって、または治療中でも、不安や心配があれば担当医にリスクについて尋ねてみてください。
ベネフィットは理解しやすいですから。

それが自分の中の許容範囲ならば、ぜひその治療を受けてください。
許容範囲でなければ、別の方法を探してください。


今回はよりよい治療法を選択するためのリスクとベネフィットのお話でした。
治療方法に迷われた時はこのような考え方で選んでみてください。
このお話があなたのよりよい選択の一助になれば幸いです。