column院長コラム

生理不順について – 産婦人科受診のその前に


生理不順とは?

前回の私のコラムは、女性ホルモンの正常な働きについてでした。
今回はその異常編、生理不順についてです。
産婦人科を受診されるきっかけとして、生理不順を訴えてこられる方はとても多いです。
毎月きっちりと生理が来る方が、急に遅れたり、いつもと違う血の出方になったりすると、アレッって思いますよね。
逆に、普段から生理周期が不規則な方はあまり気にされないことも多いです。

だれもが毎月まったく同じ周期で生理が来るわけではありません。1日でもずれれば異常というわけでもありません。
正常の範囲でもばらつきはあって当たり前です。では正常ってどういう状態をさすのでしょう。

正常月経の定義です。
月経周期:25~38日の間にあり、その変動が6日以内
出血持続日数:3~7日
正常の範囲も結構幅があります。そしてこれからはずれると「異常」ということになります。
「異常」ですから治療しましょう!・・・ということに、すべての方がなるわけではありません。

生理不順の理由

妊娠を除くと、生理が遅れる場合は2通りあります。
1)排卵そのものが遅れる場合
2)排卵しないまま時間が経過して出血する場合

1) 排卵そのものが遅れる場合
こちらの場合は遅れながらもホルモンがちゃんと出てることになります。
2か月以内ぐらいで排卵を伴って生理が来るなら、必ずしも治療は必要ありません。
でも妊娠の希望がある場合は月に1回規則正しく排卵があるほうが、妊娠のチャンスが増えますので、治療したほうがいいことになります。

2) 排卵しないまま時間が経過して出血する場合
この場合、どう対応するかは年齢にもよります。
40歳半ばを越えてくるならそのままでもよいかもしれません(出血の他の原因を調べる必要はあります)。
それ以下の年齢ならば、原因を調べたうえで治療したほうが良いでしょう。
こちらの場合は、生理周期が早くなったりすることもあります。
排卵がなければ妊娠にはいたりませんので、妊娠を希望されるなら排卵させる方向の治療が必要です。
今すぐの妊娠は希望されないかたでも、将来の妊娠のことを考えるなら、ホルモン環境を整える方向の治療が必要でしょう。

キーワードは?

いかがですか?だいぶややこしくなってきました。
上の文章すっとばしていただいても結構です。
キーワードは「排卵の有無」、「妊娠希望の有無」です。
ざっくりと考えれば、その組み合わせで4通り、年齢を「40歳」で分けると8通りの対応があるということになります。
それと、『周期がばらばらでいつ生理が来るかわからないのってイヤッ!』と思うか思わないか、という項目を追加すればさらに倍になります。倍返しです。
文章で書ききれるものではありませんでした。

まずは「排卵の有無」。
家で簡単にできることとして、基礎体温の測定があります。詳しくはこのようなサイトを参考にしてください。
体温の変動のパターンで排卵の有無が大体わかります。生理不順で産婦人科を受診されると、医師から「では基礎体温を測って、また来てください」などといわれます。
最初の受診から準備していけば、受診が一回少なくてすむかも。さらりとお得情報です。

次に「妊娠希望」。
これはご夫婦、カップルでよく話し合ってください。
今すぐ妊娠したいのか?一年後には妊娠したいのか?当分妊娠は希望しないのか?など、時期も含めて明確にできれば方針はよりクリアになります。

さらに「年齢」。
40歳を超えてくると、妊娠を希望されるかたにとっては、そのハードルが高くなってきます。
思うように妊娠に至らない場合、不妊治療専門のクリニックを受診することも必要になってきます。
また逆に、40歳を超えて思わぬ妊娠をすることもありますし、更年期的な問題がでてくる方もおられます。
40歳から45歳という年齢は、本当に人それぞれです。
どういう方針でいくのかは、担当のドクターとしっかり話をして決めていくことが必要になってきます。