column院長コラム

痛い!生理痛のはなし

生理痛

前回までは女性ホルモンとその周期の異常についてのお話でした。
今回は、多くの皆さんが経験しているであろう生理痛のお話です。
痛いのっていやですよね。それが毎月あるならなおさらです。
生理前から痛みの出るかたは月の半分近く痛かったりもします。でも、日本人はがまん強いかたが多いようです。
がまんして、がまんして、子育てや、お仕事がんばっておられる方がたくさんおられます。

とある、働く女性の健康に関する調査によると、痛み止めを飲んでも痛くて仕事を休む方が2.8%。
痛み止めを飲めばなんとか仕事はできる方が25.8%。

1/4 以上の方が大変な思いをして働いておられます。子育て中のママも同様でしょう。
逆に子育てって休むわけにもいきませんから、よけい大変かもしれません。

月経困難症

生理直前から生理中の不快な症状。
腹痛、腰痛、膨満感、はきけ、頭痛、疲労、いらいらなどを「月経随伴症状」といいます。それが、日常生活も困難なほどひどくなる状態を「月経困難症」といいます。
その中心が下腹部痛です。痛み止めを飲んでも動けなかったり、救急車を呼ぶような事態になる方もおられます。

月経困難症は「機能性月経困難症と「器質性月経困難症」の2つに分類されています。
急に漢字が並んできました。
平たく言うと前者は、『なんにもないのにめっちゃ痛い』、後者は『なんかあるからめっちゃ痛い』状態です。

まず、『なんにもないのにめっちゃ痛い』場合についてです。
生理とは、妊娠が成立しなかった場合に子宮内膜(子宮の中の受精卵が着床する部分の膜です)が一気にはがれ落ちてくる現象です。
その時にその内膜から”プロスタグランジン”という子宮を収縮させる物質がでます。
そうやって血が止まっていきます。合目的です。

ヒトの体はよくできてます。これはすべての女性で起きることなのです。
ところが、その量が過剰だと強い痛みを引き起こします。
ですので、治療は”プロスタグランジン”を抑える痛み止め、ロキソニンやボルタレンなどが適しています。
服用の仕方は、痛くなりそうになったら飲みはじめることです。
がまんして、がまんして、限界来てからようやく飲むよりはるかに効果があります。
また、子宮内膜の成長をコントロールできれば、”プロスタグランジン”の産生もコントロールできます。
それには低用量ピルが適しています。
劇的によくなることも多い治療法です。
低用量ピルは排卵を抑えますので、避妊が必要な方に適しています。

次に『なんかあるからめっちゃ痛い』場合です。
『なんか』とは、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、クラミジア感染、性器奇形、骨盤内癒着などなどです。
根本的な治療法はその『なんか』を取り除くことです。
手術が必要になるということです。
しかし、すべての方に手術を行うわけではありません。症状、年齢、妊娠希望の有無、悪性の可能性の有無などを考慮に入れたうえで手術を行うか、薬による治療を優先するかを考えていくことになります。
多くは前述の痛み止め、低用量ピルや、生理を止めるようなお薬などを使って、痛みを取り除くことと同時に病変の治療を考えていきます。

がまんしないで

すべての女性に多かれ少なかれ生理痛は起こります。
当たり前のことと思って、ずっとがまんしてきた方も多いと思います。
毎月の痛みがやわらげば、快適に過ごせる時間が増えますし、しっかりと子供に向き合う時間も増えます。
仕事も集中してできるようになります。
がまんは美徳でもありますが、生理痛に関してはがまんせず、快適な日常をすごしたほうがご自身も周りの人もきっとみんな幸せです。
生理痛が気になる方は、お近くの婦人科を受診してみてください。
まずは『なんか』あるのか、ないのかを確かめることが必要です。

そのうえでおひとり、おひとりに合わせて治療方針を考えて行きます。
年齢、妊娠の希望などにより方針も変わっていきます。特に子宮内膜症がある場合は、将来妊娠しにくくなる可能性がありますので、未来を見越した治療が必要になってきます。
生理痛、生理不順、月経前症候群など、女性の生理にまつわる問題は本当にたくさんあります。しかも毎月のことです。
だからこそ、なんでも相談できるかかりつけの婦人科の先生をぜひ見つけてください。
がんばるママの力強い味方にきっとなってくれますよ!